投稿日:2021/11/03 最終更新日:2022/09/14
「良い授業」と「悪い授業」の違いは何なのか?
皆さんは学生時代に楽しかった授業を覚えていますか?
この先生の話はすごく面白い!と思うものもあれば、この先生の授業はつまんねえな と思うものもあったと思います。
何となくでも話が面白かった先生だったなと思えた人もいたと思いますが、授業内容自体が身に付けられていたかと言われれば全てではないですよね。
そもそも話が面白い先生でも良い授業だったかと言われればそうではないこともあるはずです。
そこで、「いい授業と悪い授業の違いは何なのか?」
皆さんはこの違いに答えることが出来ますか?
教員志望の大学生にとってこの疑問については知りたいはずなのに授業でやらないことです。
今回は良い授業と悪い授業の違いを分析し、教員として3年間追究し続けた結果、授業評価95%と定期試験の平均点80点を取らせた私なりの方法論を解説していきたいと思います。
結論
良い授業と悪い授業の違いは以下の通りです。
○良い授業
- 話(解説)が噛み砕かれていて内容が易しくなっている
- 板書は2色or3色しか使わない
- 定期的に発問を投げかけている(双方向)
×悪い授業
- 話(解説)が教科書内容そのまま
- 板書で4色以上を使っている
- 定期的な発問がない(単一方向)
他にも違いはたくさんありますが、私自身が研究して導いた方法と先輩教員の方法をパクってみて良いなと思ったことや教えて頂いたことをポイントにまとめてみました。
今回の3つポイントに絞りますが、これだけでも意識することで良い授業に少しでも変えることが出来るはずです。
それでは、この3つのポイントを踏まえて私の良い授業を作る方法論を解説をしていきます。
良い話(解説)は逸れた話
私は地歴公民が担当だったので、主に地歴公民をメインに解説をしていきます。
他の教科の場合でも応用はしやすいと思いますので、ぜひ参考にしてみてください!
良い話(解説)のしかたには2つの要素が必要です。
・少しだけ逸れた話をする
・小学生でも伝わる内容に噛み砕く
まずは少しだけ逸れた話をすることです。
話が横道に逸れてしまうのは一見聞こえが良くないですし、きっちり時間を使って授業内容を伝えられない思いますが、時間一杯までお堅い話をし続けることが一番良くないです。
しかも意外と効果的なんですね。
ただし話が逸れまくって授業が終わってしまうとか逸れた話しかしないこともよくないので、やり過ない方が良いです。
しかし、少し逸れている話をしている時は生徒の食いつきが私には違って見えました。
例えば、古墳を授業しているとした時に「前方後円墳はこれで〜、覚えておくべきは伝仁徳天皇陵(大仙陵古墳)で〜、竪穴式石室はこれで〜、横穴式石室はこれ」みたいなただただ授業内容を伝えるだけになっている先生は意外に多い気がします。
教えることに慣れてくると楽な教え方をしてしまうので、既成事実のみを並べたほうが労力を使わないわけですね。
私が高校生の頃は基本日本史の分厚い教科書をとにかく詰め込んで終わらせることしか考えていないようなので、解説もクソも全くない感じでした。
私自身、当初はこのような解説になってしまっていたためか、生徒が乗ってこない感触しかしませんでした。
そこで、私は大学生の頃に古墳巡りにもよく行っていたので、その話を解説にしてみました。
例えば、伝仁徳天皇陵(大仙陵古墳)の話をするときは最寄駅からの道のりの話をしたり、他にも法隆寺などの飛鳥文化を解説するときは奈良旅行に行った時の話を中心に思い出を話しながら解説してみました。
そうすると、なぜか生徒は前のめりな感じで授業で話を聞いてくれるようになったのです。
なぜなのか、私なりに考えをまとめてみたのですが、
生徒が授業中に楽しそうにしているときは先生が先生っぽくないなと思う時だということです。
普段、生徒は教員を「教員」としか見てないです。というか教員側から生徒に仕向けているはずです。
つまり、「教員=お堅い・つまらない・怒る・真面目…」などこんなイメージで見ている生徒が多いわけです。
しかし、ちょこっと「最近〇〇っていう漫画にハマっていてね〜」とか「昨日はディ○ニーに行ってきて〜」などプライベートの出来事を話した時はギャップが生まれて急に距離感が狭まり生徒から話しかけやすくなります。
大変だと思いますが、10代の話題も積極的に取り入れてみるように頑張ってみましょう!
あと、イメージしやすいように話すことも大切です。歴史がそんなに好きではない人でも大河ドラマは見てしまう人は結構いると思うんですよね。というのもストーリー性があって話がスッと入ってくるからではないでしょうか。
つまりは授業中の話もストーリーを意識して話すことは理解定着にいい効果を発揮すると思われます。
それを利用して授業で本当に覚えてもらいたい内容を話すときは横道に逸れた話をして、本題に繋げて話すことが効果的だということです。
たとえ横道に話が逸れていたとしてもゴールに繋がっていて、本来覚えて欲しい内容に行き着くのであれば全く問題ないはずです。
他にも教科書には書いていない面白いエピソードトークを聞くのも生徒は好きです。
これは「小学生でも伝わる内容に噛み砕く」部分にも繋がってきます。
例えば、世界史の最初に授業をする人類誕生を授業するとき、「直立二足歩行」が出てきます。
「直立二足歩行 = 2本の足で立って歩行が出来ること」と覚えれば良いだけですがこれだけでは面白くはないですよね。
なので、私はこの時に腰痛の話をします。
なんで腰痛?と思ったそこのあなた、良い反応です。
腰痛は人間しか感じることの出来ない痛みって知ってましたか?
実は腰痛が起こる原因は「直立二足歩行」にあります。
直立二足歩行は腰への負担が半端ではないです。
今まで四足歩行だった生き物が直立二足歩行になったことで負担のかからなかった腰に大きな負担がかかるようになったのです。
なので、他の生き物と比べて負担に耐えられるように人の腰骨は太く頑丈になっています。
これを利用して「他の生き物には経験出来ない痛みってなんだ?」→「腰痛」→「なんで人しか腰痛がないの?」と話をつなげて「理由は直立二足歩行だからだよ」と話をしてまとめていくことで、エピソード記憶の効果により生徒の理解力が向上します。
人はエピソードを用いた記憶の方が残りやすいということを利用しましょう。
板書は2色でいい
世の中にはよくこんな先生がいます。
・「青が重要な用語で赤が最重要な用語、黄が補足内容で、黒がそれ以外でまとめています!」
はい、とても残念な板書になります。
理由は色は重要でないからです。
まず、たくさんの色を使って覚えるべきであれば、教科書がそうなっていなければいけないはずです。
でも、教科書って基本的に黒字と使って赤字くらいではないしょうか?
極論ですが教科書内容は学問の観点から見て全て重要です。
大学でより専門的な勉強することを考えた場合、高校までに学習する教科書内容はどれも覚えておくべき基本的な内容しか載っていません。
つまり、教員の主観で重要度を色分けすることは無意味な行為です。
そうは言っても、ノートの役割はテスト勉強などで見返したときに思い出すことの出来る書き方をさせなければいけないので、私は黒と赤の2色(黒板では黒=白)しか使いませんでした。
教科書で太字になっている用語を赤で書き、それ以外を黒で書くことでパッと見た時に重要語句として教科書の載っている内容が一眼でわかるようにしていました。
それ以上は工夫をしていません。
あとは先ほどのエピソードトークを絡めた解説を話しつつ、生徒ごとでまとめておきたい内容をノートに書いてもらえればそれだけで良いノートを作ることが出来ます。
板書はパッとノートを見返したときに授業を思い出せる状態に持っていくためにあるので、大切なのは授業の解説をしっかり聞かせてノートは授業内容を思い出す道具と考えること。
たくさんの色を使ってノート作りをしていることで単調な作業となり、見返した時に思い出すのは頑張って色分けして書いた記憶ぐらいになってしまいます。
なので、黒色を含めた2色or3色で板書を取るようにしてみましょう。
授業でクイズ大会を開こう
「ん?クイズ大会って?どういうこと?」
では、簡単に説明をしていきますね笑
ご存知の通り、子供はクイズやなぞなぞがとても好きです。
これはなぜでしょうか?
なぜなら、簡単に自己承認欲求を満たせてあげられるからです。
クイズは正解するとすごく嬉しいですよね。しかも、教室という比較的大人数の前で「正解!」と言われた時にはドヤ顔とかニヤニヤが止まらなくなるはずです。
これは子供だけでなく大人を含めた全員に言えることだと思います。だから、近頃のゴールデンのテレビ番組はクイズ番組が多いのではないでしょうか。
これを利用して、授業が単調になってしまう場面や面白くない内容の時はぜひクイズをして下さい。
例えば、日本史で言うところの文化の授業をする時、仏像とかを写真を見せて解説するだけだとトンデモなく退屈な授業になります。
そのため、例を挙げると広隆寺半跏思惟像が出てくる時にあるクイズを毎回していました。
・「今から約60年前この仏像にとある大事件が起きました、それは何でしょう??」
このクイズの正解は「京大生が仏像の指を折った」です。
高校生であれば「京都大学」を知らない子はいないはずですよね。賢い人たちの集まりみたいなイメージがあるはずなのに、仏像の指を折るなんてとんでもなくインパクトがありませんか?この仏像は指を1回折られているんだと印象付けられて忘れなくなります。
これも先程のエピソード記憶を用いた方法です。
ただこのクイズ自体は正解を答えさせることがなかなか難しいので、うまく誘導してハードルを下げてあげると時間をかけずに楽しめると思います。
正解出来た生徒はテンションが上がりますし、大体それ以降も集中して授業を聞くようになっていきます。
なので、「クイズで楽しみながら惹きつけて、答えに出来るだけ辿り着かせ、印象付けさせる」方法はゲーム感覚で生徒も楽しみながら取り組むことが出来るはずです。
ただ、全く関係のないことをクイズにしては授業として意味がないので気をつけましょう。
まとめ
今回のポイントをまとめていきます。
良い授業とは・・・
・逸れた話をする←エピソード記憶の効果大
・板書は2色or3色←視覚的に認知しやすい
・授業でクイズ大会をする←生徒がヒーローになれる場を作る
最初は慣れてないと話をあまり関係ないことをクイズにしてしまったりと上手くはいかないと思いますが、しないよりはしてみたほうがいいですし、何回か授業でやり続けると出来るようになるはずです。
「良い授業となにか?」の答えは様々だと思いますが、私はこの3つのポイントを主に使うことで「先生の授業は面白いし理解しやすい」と多くの生徒に言ってもらえるようになりました。
ぜひ、授業に悩んでいる先生方、模擬授業や教育実習を控えた大学生の方は活用してみてください。
以上、「「良い授業」と「悪い授業」の違いは何なのか?」でした。