
投稿日:2025/05/07 最終更新日:2025/05/07
ChatGPTに聞いた3年間で経営に必要な知識・スキルを身につける学習ロードマップ
現在のWeb制作会社マネージャー職から、3年後に社長(経営者)として必要な能力を身につけるためのロードマップを示します。フェーズ(年度)ごとに重点項目を整理し、経営・マネジメント・営業・採用・人材育成・財務・技術・AI・マーケティングなどカテゴリ別に学習テーマと具体的リソースをまとめました。段階的に実務と結びつけて習得していきます。
フェーズ1(1年目):現場理解と基礎固め
まずは現場での実務を通じて会社の全体像を把握し、経営者としての基礎知識を幅広く学習する段階です。自ら手を動かしつつ各分野の基本をインプットしましょう。経営戦略・会計・人材マネジメント・マーケティング・法律など、経営者に求められる知識は多岐にわたります 。以下のカテゴリごとに1年目の重点項目と推奨リソースを示します。
- 経営(ビジネス基礎): 現在の事業モデルや強み・弱みを整理し、経営戦略の基本を学びます。経営環境や競合を分析する3C・SWOT分析などのフレームワークを使い、自社の現状把握から始めましょう。経営全般の入門知識として、ドラッカーの『マネジメント[エッセンシャル版]』でマネジメント論の基本を押さえます 。また「経営戦略」「会計」「組織人材管理」「マーケティング」「法律」の基礎知識を俯瞰し、不足分野を洗い出します 。(例:書籍『経営者になるための教科書』、オンライン講座「グロービス学び放題・ビジネス基礎」)
- マネジメント(組織運営): 小規模組織のマネジメント実践力を養います。一人で成果を出すには限界があるため、**人や組織を動かす力(リーダーシップ・マネジメント)**が不可欠です 。まずは現場のリーダーとして、メンバーとの信頼関係構築、目標設定と進捗管理、フィードバック面談のスキルを磨きましょう。参考書籍としてドラッカーの『マネジメント[エッセンシャル版]』のほか、守島基博『人材マネジメント入門』で評価や動機づけの手法を学びます 。実践面では週1回の1on1ミーティングを導入するなど、部下育成とチーム運営の基盤を作ります。視野を広げるため、現場マネジメント術を解説する動画(例:元マクドナルド幹部・鴨頭嘉人氏のYouTubeチャンネルは人の動かし方や話し方スキルが学べ、現場管理職に必見です )。
- 営業: 経営者には営業力が必須です。社員10名規模の会社では、社長自ら率先して営業に立つことが求められます 。まず現行の営業プロセスを把握し、主要クライアントとの商談に同席・主導して経験を積みます。同時に営業スキルの基本も独習します(例:書籍『営業の魔法』でヒアリングから提案までの流れを学ぶ)。異業種交流会や経営者団体にも積極参加し、自社サービスを的確にPRして受注につなげる練習をしましょう 。営業現場で得た課題を分析し、自社の強みを生かした提案資料や営業トークスクリプトを整備します。(参考動画:堀江貴文氏の「ホリエモンチャンネル」は時事ネタを鋭く捉える切り口が勉強になります )
- 採用: 採用計画と手法の基本を習得します。まずはどんな人材が会社の成長に必要かを現場目線で考え、求める人物像とスキルセットを定義します。採用実務では求人票の作成から面接手法まで経験を積むため、アルバイトや新人の採用に関わりましょう。書籍『採用基準』(元マッキンゼー採用担当・伊賀泰代氏)を読み、優秀な人材の共通要件やリーダーシップポテンシャルの見極め方に触れます。日本企業の課題は優秀なリーダーの不足とも指摘されており 、将来に向けて人材を見る目を養うことが重要です。必要なら採用面接の研修動画やセミナー(例:「面接官トレーニング講座」)を活用し、公平かつ魅力の伝わる面談スキルを習得します。
- 人材育成: 社内の人材育成基盤を作ることが1年目の課題です。OJT計画を整備し、先輩社員による新人指導体制を強化します。自らもメンバーのメンターとなり、週次のフォローやスキル指導を行います。人を育てる理論面は、中原淳『企業内人材育成入門』で学び、経験学習モデルなどを実践に取り入れます 。また、コーチングスキルも磨きましょう。例えばスポーツの指導者経験から学ぶ吉井理人『最高のコーチは、教えない。』などを読み、相手の自発性と成長を引き出すヒントを得ます。こうした知識を活かし、社員の強み・弱みを1人ひとり把握して成長機会を提供することがこのフェーズの目標です。(参考:YouTubeで「若手育成」「部下 指導」などのキーワード検索もし、他社の取り組み事例を収集 )
- 財務: 会計・財務の基礎知識を経営に活かす段階です。日商簿記2級の知識を土台に、実際の自社の財務三表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書)を読み込みます 。特に損益とキャッシュの動きを把握し、現状の経営を数字で説明できるようになりましょう。京セラ創業者・稲盛和夫氏の『稲盛和夫の実学―経営と会計』は、中小企業経営における会計の重要性を説いた名著です。「会計がわからんで経営ができるか!」という強烈なメッセージとともに、経営者は数字をごまかさず真摯に向き合うべきと説かれています 。これを読んで、会計知識をどのように経営判断に活かすか学びましょう。また、社内の数字管理ルール(予算策定や月次決算レビューなど)があれば主体的に携わり、財務面の課題を洗い出します。(例:書籍『社長のための財務三表の読み方』、中小企業診断士試験テキスト「財務・会計」科目を参考に独習)
- 技術: フロントエンドエンジニアとしての強みを活かしつつ、技術領域の視野を広げることが必要です。1年目はバックエンドやインフラなど自社サービス提供に関わる周辺技術の基礎を学び、開発フロー全体を理解します。例えば、未経験であればNode.jsやデータベース設計の入門書・講座を受講し、エンジニアリング全般の知見を深めます。技術トレンドにもアンテナを張り、週に一度は業界ニュースをチェックしましょう。IT業界の変化は激しく、常に先を見通して対応する姿勢が経営者にも求められます 。現場では自ら手を動かしつつ、標準化や効率化にも取り組みます。例えばコーディング規約の策定やプロジェクト管理ツールの導入など、小さな改善を積み重ねて技術力向上と生産性アップを図ります。(参考書籍:『Joel on Software』などソフトウェア開発ベストプラクティス集、技術動画:「Engineers in XYZ社」チャンネル等)
- AI: AIツールの活用に慣れることから始めます。まずは自身の業務でChatGPTなど生成AIを使ってみましょう。コードのリファクタ提案や文書の要約作成など、日々のタスクでAIがどこまで役立つか体感します。近年、ChatGPTをはじめとする生成AIは企画・商談のアイデア出し、バックオフィス業務の自動化、資料作成・データ分析の効率化、新規事業開発など様々な領域で成果を上げ始めています 。まずは無料で試せるAIツールを社内で共有し、小さなPoC(実証実験)を行います。例えばデザイン案の自動生成ツールを試し、品質を評価するといった取り組みです。AIの基礎知識も習得しましょう。非エンジニアでも理解できるオンライン講座(Andrew Ng氏の「AI for Everyone」(日本語字幕)等)や書籍『人工知能は人間を超えるか』などでAIの原理や可能性を学び、最新動向を掴みます。
- マーケティング: マーケティングの基礎知識をインプットします。自社の集客は紹介やWebサイト経由が中心かもしれませんが、将来の成長には体系立てたマーケティング戦略が必要です。マーケティングとは「顧客のニーズを特定し、ターゲットを選定し、差別化要因を示し、具体的な製品・価格戦略につなげる一連のプロセス」であり 、まずその全体像を理解します。例えばマーケティング入門書の定番『沈黙のWebマーケティング』を読んで、SEOやコンテンツマーケの基礎を学ぶとよいでしょう。デジタルマーケティングも重要で、初心者向けには『日本一詳しいWeb集客術「デジタル・マーケティング超入門」』といった網羅的な解説書が役立ちます 。これらの知識を踏まえ、自社サイトの分析(Googleアナリティクスの基本指標確認など)や、簡単な施策(ブログ記事の定期発信、LPの改善)に着手します。動画教材では、中田敦彦氏の「YouTube大学」などでマーケティング理論の解説回があれば視聴し、楽しみながら知見を広げましょう。
▶︎ 1年目の成果: 会社の現状と課題を経営者視点で捉えられるようになる。経営の基礎知識を広く習得し、現場マネジメント・営業・財務の実践経験を積む。書籍や動画でインプットした知識を日々の業務改善に活かし、小さな変革を起こし始める。
フェーズ2(2年目):戦略構築と組織強化
2年目はマネージャーから経営幹部への視点にシフトし、より戦略的な取り組みを進める段階です。現場の基礎固めを踏まえ、中長期の計画策定や組織体制の整備に着手します。各カテゴリごとに、より高度な知識習得と実践を進めましょう。
- 経営(戦略立案): このフェーズでは会社の中期ビジョンと戦略を具体化します。まず、オーナーや経理担当と協力し3ヵ年の事業計画策定を主導しましょう。市場分析や自社の強み・弱み分析を踏まえ、新サービス開発や顧客開拓の方向性を定めます。フレームワーク活用も本格化させ、PEST分析で業界のマクロ環境を整理し、ポーターのファイブフォース分析で競争環境を分析するなど、MBAで学ぶような手法を実務に適用します 。体系だった戦略思考を養うため、ビジネススクールの夜間講座やオンラインMBA科目(例:「グロービス経営大学院・経営戦略基礎」)を履修するのも有効です。中小企業診断士資格の学習も視野に入ります。診断士試験科目には企業経営理論(経営戦略)や経営法務など経営者的視点に必要な知識が網羅されており、管理職の方にもおすすめです 。2年目はこうした体系知識のインプットと、自社戦略への落とし込みを並行して進め、来たる社長就任に備えて説得力ある戦略を描けるようになります。(参考書籍:『経営戦略全史』で歴史的に有効な戦略を学ぶ、稲盛和夫『アメーバ経営』で経営管理手法を学ぶ)
- マネジメント(組織体制): 組織づくりとリーダーシップ強化がテーマです。まず社内の役割分担や業務プロセスを見直し、効率的で権限委譲の進んだ体制に再構築します。例えばプレイングマネージャーである自分が抱え込んでいた業務を洗い出し、メンバーに権限移譲できるものは任せて育成につなげます。組織図を更新し、新たにリーダーポジションを設けるなど組織開発にも踏み込みます。リーダーシップ理論も学びましょう。2年目にはドラッカーやコヴィー『7つの習慣』といった古典的リーダー論に加え、最新のマネジメント理論(心理的安全性の確保、サーバントリーダーシップなど)にも目を通します。必要に応じてエグゼクティブコーチングを受けるのも有効です。自己変革力を高めるため、率直な360度フィードバックを求め、自身のマネジメントスタイルを客観視して改善します 。(推奨リソース:書籍『リーダーシップ論』(米倉誠一郎)、オンラインセミナー「マネジメント3.0」)
- 営業: 営業戦略の構築と売上拡大策の実行にフォーカスします。前年に培った営業力をベースに、今年はより計画的に動きます。具体的には、主要取引先への提案の幅を広げる(例:Web制作だけでなく運用代行やマーケ支援も含めた提案)ことで単価アップ・リピート獲得を図ります。また、新規顧客開拓のため**営業計画(パイプライン管理)**を導入し、月ごとの見込み案件数や目標受注額を設定してチームで追いかけます。営業会議を定例化し、数字管理とPDCAを回しましょう。さらに営業チャネル拡大としてパートナー戦略も検討します。同業他社や関連業界とアライアンスを組み、お互いに案件を紹介し合う仕組みを作るなど、中小企業ならではのネットワークを活かした営業強化策を取ります 。自社のマーケティング施策(後述)とも連携し、問い合わせ増加に備えて営業フローを整えます。(参考:中小企業診断士の販売戦略科目テキスト、営業代行サービスの活用事例集)
- 採用: 計画的な採用活動と採用力向上に努めます。まず3年目も見据えて、この年にどの部署・職種で何名採用するか計画を立て、予算とスケジュールを確保します。例えば、エンジニアを1名、中途でデザイナーを1名採用する、といった具体的プランです。採用チャネルも多様化しましょう。求人サイトだけでなく、専門学校や大学との連携、業界コミュニティでのリファラル採用、SNS発信によるダイレクトリクルーティングなどを試みます。自社の魅力発信(採用広報)も強化します。会社紹介資料や採用ページを刷新し、社員の声や実績を載せて応募者に魅力が伝わるようにします。面接スキル向上にも引き続き取り組みます。この年は面接官トレーニングを社内で実施し、他のマネージャー層とともに評価基準を統一することで、採用の目利きを組織的に底上げします。優秀な人材確保のためにはスピードも重要なので、選考プロセスを見直して無駄を省き迅速な内定出しを心がけましょう。(推奨書籍:『人を動かす採用術』、動画講義:「元リクルートが語る中小企業の採用戦略」)
- 人材育成: 社員育成の仕組みを定着化させます。1年目に始めたOJTや1on1を洗練させ、社内教育プログラムとして体系化しましょう。例えば新人研修カリキュラムを整備し、入社後3ヵ月で基本スキル習得、6ヵ月で小規模案件リード、といった目標を設定します。加えてオフJT(社外研修)も導入します。予算を確保してオンライン講座受講や勉強会参加を社員に奨励し、新技術習得や資格取得を支援します。人材育成担当として、ドラッカーの『マネジメント』に立ち返り「人を活かす」視点を再確認するのも有効です 。また評価制度を活用し、成長を正当に評価・報酬反映する仕組みを検討します。この頃になると部下が部下を育成する文化も醸成され始めるので、中堅社員を対象にリーダー研修を行い、教えるスキル(コーチングやフィードバック手法)を習得させます。人が育つ会社風土を作ることで、将来の事業拡大に備えた人材の厚みを確保していきます。
- 財務: 2年目は財務戦略と収支改善に取り組みます。まず、前年度の決算を経営者の立場で分析し、課題を洗い出します(売上利益率の低い案件の精査、固定費の見直し等)。その上で予算編成を主導し、各部門に目標となるKPIを設定します。例えば制作案件の利益率向上のため原価管理を徹底し、人件費や外注費の予実差異を毎月チェックする仕組みを導入します。また、資金繰り管理も重要です。キャッシュフロー計画を作成し、必要に応じ銀行との折衝にも同席して融資枠の確保などに努めます。さらに、将来に向け財務体質強化として内部留保の目標額を設定し、無駄なコスト削減や値決め改善による利益確保を図ります。中小企業では経理機能が弱いことが成長の足かせになるケースが多いため 、外部の公認会計士や税理士とも連携しながら経理プロセスを高度化します。必要であれば会計システムをクラウドERPに刷新して経営指標をリアルタイムで把握できるようにするなど、数字に基づく経営判断のスピードアップを目指します。(推奨書籍:『グロービスMBAファイナンス』でファイナンス思考を学ぶ、セミナー:「中小企業のための管理会計導入」)
- 技術: 技術戦略とサービス開発力の強化を目指します。まず、自社の提供サービスについて技術的な棚卸しを行い、競合他社との差別化要因となる技術を見極めます。例えば「当社はWordPress構築に強みがあるが、今後はHeadless CMSやSPAにも対応できるようにしよう」といった方向性を定め、人員育成計画と紐付けます。新技術のR&D(研究開発)もこの年から積極化します。業務時間の一部を使ったR&Dプロジェクトを立ち上げ、AIやモダンフレームワークのプロトタイプ開発を行います。最新技術情報のキャッチアップには、技術カンファレンス参加やコミュニティ活動が有効です。主要なITカンファレンス(デブサミ、AWS Summitなど)に参加してネットワークを広げ、知見を社内共有しましょう。技術力向上は単なる自己満足でなく事業成長につなげる視点が重要です。例えば動画制作サービスに3DCGやAR技術を取り入れて提案力を上げる、新たに簡易CMSツールを自社開発して保守運用を効率化する、といった技術を軸としたサービス開発にも着手します。これにより他社との差別化を図り、市場ニーズに応える準備を進めます。
- AI: AI活用の本格導入に踏み切ります。まず社内で生成AI研修を実施し、全社員のリテラシーを底上げします。現役のIT経営者によると、生成AI研修を行うことでDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速や業務効率化、人材不足対策に大きな効果があるとされています 。厚生労働省の人材開発支援助成金を活用すれば研修費用の最大75%が助成される可能性もあり、中小企業こそこの機会を逃さず活用すべきです 。具体的には、社外の専門研修(例:トレノケート社の「生成AIビジネス活用研修」 )を受講したり、講師を招いてのワークショップを開催します。内容は「ChatGPTのビジネス活用法」「AIによる業務自動化事例研究」など。研修後、各部署でAI活用アイデアを出し合い、業務プロセスへのAI統合計画を立案します。例えば、Webデザイン案の自動生成とデザイナーによる最終調整のワークフローを作り納期短縮を図る、営業提案書のドラフトをAIで作成し効率化する、といった具合です。また、新規サービスとしてAIを組み込んだ商品開発も検討します。簡易な例では、自社サイトにチャットボットを導入して問い合わせ対応を自動化しつつ、そのノウハウを中小企業向けにサービス提供することも考えられます。2年目は試行錯誤しながらも社内に「AIを使うのが当たり前」という文化を根付かせ、3年目以降の飛躍に備えます。(参考図書:『実践 生成AIの教科書』で各業種の活用事例を学ぶ)
- マーケティング: 本格的なマーケティング戦略の展開に移ります。まず前年に習得した基本を基に、自社のマーケティング戦略書を策定します。STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)の手法で狙う市場セグメントを定め、自社のUSP(独自の強み)を明確化しましょう。例えば「地域の中小企業向けに、デザイン力とスピードを武器にしたWeb制作サービス」という位置づけを再確認し、それに沿った発信内容を整理します。具体施策として、コンテンツマーケティングを開始します。自社サイトのブログでウェブ制作やマーケティングに関する有益情報を発信し、見込み客の興味を惹きつけます。併せて事例紹介(ケーススタディ)記事を充実させ、実績をアピールすることで信頼性も高めます。SNSの活用も拡大し、TwitterやLinkedInで自社の取り組みやノウハウを発信してファンを増やします。ウェビナー(オンラインセミナー)の開催も検討します。例えば「小規模企業のためのホームページ活用術」と題して無料ウェビナーを開き、潜在顧客リストを獲得する施策です。マーケティングの効果測定にも取り組みます。Web解析ツールでコンバージョン経路を分析し、SEO対策や広告運用の投資対効果を評価して改善に繋げます 。このように攻めのマーケティングを展開し、営業と両輪で売上拡大を狙います。(参考書籍:『マーケティング戦略ケースブック』、動画:「NewsPicksアカデミア マーケティング講座」)
▶︎ 2年目の成果: 経営者視点で中期戦略と具体策を描き、組織と仕組みを整え始める。自らのリーダーシップで営業拡大やマーケ施策を牽引し、業績向上の兆しを生む。社内には権限委譲が進み、育成された次世代リーダーが現れ始める。経営に必要な知識も実践レベルに達し、社長就任への自信と準備が整う。
フェーズ3(3年目):経営実践と事業拡大
いよいよ経営者として舵を取るフェーズです。オーナーから経営全般を広く任され、人事・予算・採用など大きな裁量を持って経営実践に臨みます。学んだ知識を総動員し、会社の持続的成長に向けた意思決定と実行を行っていきます。
- 経営(経営実践): 社長(雇われ社長)に就任し、経営の舵取り役として実践を積みます。まずは経営ビジョンと中期経営計画を社内外に明示し、ステークホルダーと共有します。例えば「売上◯億円規模への成長」「地域No.1のWebソリューション企業になる」といったビジョンを掲げ、その実現のための戦略マップ(ロードマップ)を示します。日々の経営判断では、利益だけでなく会社のミッション・価値観に基づいた意思決定を心がけ、社員の模範となる経営姿勢を示します。また、この段階では法務やコンプライアンスにも配慮しましょう。契約書のレビューや知的財産の管理など、法的リスクに目を配り、必要に応じて顧問弁護士の助言を仰ぎつつリスク管理を徹底します。定期的に取締役会や経営会議で業績報告・戦略議論を行い、オーナーや取引先とも緊密にコミュニケーションして信頼関係を構築します。さらに、社長として自己研鑽の継続も欠かしません。他社経営者との交流(経営者団体への参加や異業種交流)を続け、そこで得られる示唆を自社経営に活かします 。必要に応じてMBA取得や専門コンサルタントの招聘を検討するなど、会社のフェーズに応じ柔軟に学び続ける姿勢を持ちます。
- マネジメント(組織マネジメント成熟): 経営者として組織を率いる総合力を発揮します。3年目には自社の組織文化・風土に責任を持ち、より良い職場環境づくりに注力します。例えばエンゲージメント向上のため社員満足度調査を行い、得られたフィードバックから人事制度や福利厚生の改善につなげます。従業員とのオープンな対話を継続し、公正な評価と報酬でモチベーションを高めるよう努めます。組織体制としては、この年までに育成した中間管理職(リーダー層)に日々の現場運営を任せ、社長は経営に専念できる体制を完成させます。万一組織内に停滞感や対立が生じている場合は、迅速に原因を分析し、場合によって人事異動や組織改編も行います。事業ポートフォリオも見直しましょう。採算の合わないサービスにリソースを割いていないか、成長分野に人員配置できているかを検討し、組織構造と事業戦略をすり合わせます 。また、自身の後継育成も視野に入れます。次の世代の経営人材を社内から育てるべく、ナンバー2や幹部候補に経営の一部を任せて鍛えることで、会社の将来に備えます。
- 営業: 経営者営業と大口顧客開拓に挑みます。社長としての人脈・影響力を駆使し、今までリーチできなかったような大手企業や行政案件にもアプローチします。例えば地元商工会や業界団体の役員に就任し、そこで培ったコネクションから大型案件の引き合いを得るなど、トップ営業を展開します。営業チームは既に整備されているはずなので、自身はキーマンとの関係構築やクロージング(契約締結)の場面に注力し、他はチームに任せる形です。社長の営業力如何で業績が左右される局面も増えます ので、引き続き営業最前線に立つ覚悟で動きます。また新規事業やサービスの営業にも取り組みます。例えばAIを活用した新サービスを立ち上げたなら、その第一号案件を獲得すべく自らプレゼンに赴きます。営業目標はより野心的に設定し、売上1億円超の達成に向けて全社を鼓舞します。営業戦略上で必要と判断すれば、このタイミングで営業専門人材を中途採用することも検討します。例えば大手出身の営業マネージャーを招聘し、自社に不足していたノウハウを補完する施策です。社長は経営全体を見渡しつつ、最後まで「自ら稼ぐ」姿勢を示すことで、社員にも営業マインドが根付くでしょう。
- 採用: 将来を見据えた人材投資を行います。事業拡大に伴い、人員計画も再度アップデートし、中長期で必要となるポジションを前倒しで採用します。例えば、会社規模が大きくなれば総務・人事担当者が必要になるかもしれません。そうした管理部門人材の採用も検討に入れます。採用ブランディングは、この時点でかなり向上しているはずです。社員定着率が高く育成文化がある会社として評判を得られれば、「働きがいのある会社ランキング」に応募してみるのも一つの手です。受賞すれば採用広報に箔がつき、優秀層からの応募も期待できます。3年目は特に経営幹部クラスの採用も視野に入れます。オーナーが現役引退を考えるならば、次の株主や役員候補となる人材を探す必要もあるでしょう。社長として、株主の意向と会社の将来を踏まえ、取締役や執行役員クラスの人材登用に関与します。採用活動は常に社長直轄の重要事項ですので、最終面接には必ず社長自ら出向き、自社のビジョンに共感し牽引してくれる人かを見極めます。
- 人材育成: 「人が人を育てる」企業文化を完成させます。社員の自律的な成長を促すしくみとして、社内メンター制度や資格取得奨励制度を軌道に乗せます。例えば若手社員が社外の勉強会で登壇・発信できるよう奨励し、学んだことを社内に持ち帰って共有する循環を作ります。経営者として重点を置くのは、次世代経営人材の育成です。将来的に会社を託せる右腕・左腕となる人材をピックアップし、プロジェクトP/Lを任せる、重要会議に同席させるなどして実地で経営感覚を養わせます。3年目までに組織も拡大していれば、新たな管理職も誕生しているでしょう。その際は管理職研修を改めて実施し、会社のバリューに沿ったマネジメントスタイルを共有します。学習する組織を目指し、社員が主体的に学び続けるための支援も強化します。具体的には社内ライブラリーを充実させ、経営・技術・デザイン・マーケティング等の書籍を会社負担で購入可能にしたり、月次で勉強会(日報共有会やLT大会など)を開催して互いに刺激を与える場を提供します。人材育成施策の成果は中長期で現れますが、3年目時点で離職率低下や生産性向上など定量・定性の効果測定を行い、必要に応じて施策をブラッシュアップします。
- 財務: 経営者として財務の最終責任を負う立場になります。定例の財務会議では、キャッシュフローの状況や予算実績差異、各プロジェクトの収益性など重要KPIを社長自らチェックします。資金繰りについては、将来的な投資(例えばオフィス拡張や設備投資)も見据えて5年先を試算し、金融機関との関係を強化しておきます。必要に応じ融資を受ける、補助金を活用するなど資金調達面のオプションも検討します。3年目で業績が順調であれば、社員への還元や新規事業投資に資金を配分する判断も求められます。利益の再投資配分をどう行うかは経営者の手腕の見せ所です。例えば〇%は人件費(賞与や採用)、〇%は設備投資、〇%は内部留保、といった方針を定めます。また、これまで学んだファイナンス知識をフル活用し、自社の企業価値向上策にも着手します。具体的には自社株評価を把握し、将来株式公開や事業承継に備えた対策を検討します。中小企業ゆえ派手さは不要ですが、堅実で強い財務基盤を築き上げ、多少の環境変化にも耐えられる体力を持った会社にすることが目標です。(参考:『社長のための財務戦略入門』、税理士による決算書の読み方セミナー受講)
- 技術: 会社の技術的方向性を決定づけるリーダーシップを発揮します。社長としてもう細かなコーディングは行わないかもしれませんが、CTO的な視点で全体を統括します。具体的には技術ロードマップを策定し、向こう3年で習得・導入すべき技術や社内標準を示します。例えば「今年はヘッドレスCMS、来年はPWA対応、その次はXRコンテンツ制作に着手」といった大まかな指針です。これに沿って研修計画や採用計画も調整します。また、品質管理とセキュリティにも注力します。組織が大きくなると品質事故や情報漏洩リスクも高まるため、情報セキュリティポリシーの策定やプライバシーマーク取得などを検討します。必要なら専門家のコンサルティングを受けて対策を強化します。3年目には自社プロダクトが育っている可能性もあります。例えば1年目・2年目のR&D成果として社内ツールが完成していれば、それを外販する事業を立ち上げるか判断します。技術をビジネスに結びつける発想で、単なる下請け制作会社から脱却し、自社サービスを持つ企業への転換も視野に入れます。技術コミュニティでは社名が知られる存在となるよう、技術カンファレンスでの講演やOSS(オープンソース)への貢献なども促進します。社長自ら旗振り役となり、「技術で業界に貢献する会社」としてブランド力を高めます。
- AI: AIを組み込んだ新たなビジネスモデルの実践に挑戦します。2年目までに社内のAI活用は定着したはずなので、3年目はそれを自社のサービス強化・拡大に直結させます。例えば、AIを用いたWebサイト自動最適化サービスを商品化し、中小企業のサイト運用を低コストで支援する、といった新サービスを展開します。あるいは動画制作で蓄積したデータから独自のAIモデルを構築し、動画編集の自動化ツールとしてプロダクト化することも考えられます。社内業務面ではさらなるAI自動化を進め、人事評価のドラフト作成や営業予測など経営判断支援にもAIを取り入れます。社長自身も最新のAI動向を追い続け、必要なら海外のAIカンファレンス(NeurIPSやWebSummitなど)に参加して知見を得ます。生成AI時代のビジネスモデル事例を集め、自社への適用可能性を議論するのも重要です 。AI導入に積極的な経営者たちの成功例・失敗例から学ぶべく、Globis等によるトップ経営者のAI活用パネルディスカッション動画 を視聴するのも有益でしょう。3年目の終わりには、**「AIを使いこなす会社」**として社内外に評価されている状態を目指します。それは人材採用面でも強みとなり、技術志向の優秀な人材が集まりやすくなる好循環を生みます。
- マーケティング: マーケティングによる事業拡大の仕上げを行います。まず、これまでのマーケティング施策の成果を総括し、最も効果の高かったチャネルや施策に経営資源を集中投下します。例えばSEOで多くのリードを獲得できているなら専門の担当者を置き、コンテンツ量産と解析改善を加速します。ブランド戦略にも踏み込みます。自社のブランドメッセージを明文化し(タグラインやミッションステートメントを刷新するなど)、統一的なブランドイメージで発信します 。具体的にはWebサイトやパンフレットのデザインを一新し、社名ロゴやスローガンを洗練させます。顧客ロイヤリティ向上策として、既存顧客向けのイベントや感謝キャンペーンを実施し、紹介案件の創出を促します。マーケティングと営業の境界も溶け合うように、インサイドセールスを導入して反響顧客へのフォローアップを迅速化するなど、マーケティング&セールス一体型の組織を作ります。加えて、より広範なデジタル施策としてリスティング広告やSNS広告にも本格的に予算を投下し、新規リード数を飛躍的に伸ばします。投資対効果を厳密に追跡しながら予算配分を機動的に最適化し、マーケティングが会社の成長エンジンとなる状態を目指します。(参考:『マーケティングROIの測定と最適化』、Google公式の広告活用オンライン講座)
▶︎ 3年目の成果: 社長として経営を実践し、会社を安定成長の軌道に乗せる。組織は自律的に動くようになり、強いチームと次世代リーダーが育つ。新たなサービスやAI活用で事業の幅が広がり、収益基盤も強固になる。マーケティング・営業・組織・財務が一体となって好循環を生み、経営者として必要な知識・スキルを実地で体得できた状態となる。
学習リソースのまとめ(書籍・動画・講座)
最後に、上記ロードマップに沿って役立つ具体的な学習リソースをカテゴリ別にまとめます。
- 経営: 『マネジメント[エッセンシャル版]基本と原則』P.F.ドラッカー ;『経営者に必要なスキル9つ・知識5つ』(マネーフォワード記事) ;グロービス学び放題(オンラインMBA講座)で経営戦略基礎コース受講。
- マネジメント: 『人材マネジメント入門』守島基博 ;『企業内人材育成入門』中原淳 他 ;YouTube「鴨頭嘉人メインチャンネル」現場マネジメント解説 ;リクルートマネジメントスクールの管理職研修講座。
- 営業: 『営業力のない社長はもう通用しない!』(note記事) ;『中小企業経営者のための「法人営業力」強化戦略』(書籍);YouTube「ホリエモンチャンネル」営業・ビジネス感覚を養う ;中小企業基盤整備機構主催「営業力強化セミナー」受講。
- 採用: 『採用基準』伊賀泰代(マッキンゼー元採用マネージャーの著作) ;『人を見抜く面接力』;リクナビNEXT主催 採用担当者向けセミナー参加。
- 人材育成: 『もしドラ』(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの…)で楽しくマネジメント入門 ;『最高のコーチは、教えない。』吉井理人;産業能率大学の通信講座「人材育成マネジメント」。
- 財務: 『稲盛和夫の実学―経営と会計』 ;『中小企業社長のための会計・経理の強化書』加藤弘之 ;ビジネス系YouTube「両学長のリベラルアーツ大学」会計・投資初歩解説;日本政策金融公庫セミナー「中小企業の財務戦略」。
- 技術: 技術同人誌や専門書(『WEB+DB PRESS総集編』等)で最新技術動向キャッチアップ;Udemyオンライン講座「フルスタックWeb開発入門」受講;技術カンファレンス(デブサミ、BuildersCON)参加。
- AI: 『ChatGPT 仕事術 ~AI時代の業務効率化~』;『実践 生成AIの教科書』(生成AI活用事例集) ;経営者向けAI講座 (PwC「経営者のためのAI講座」 );Trainocate社「生成AIビジネス活用研修」 ;Note記事「生成AI研修おすすめ6選」 。
- マーケティング: 『沈黙のWebマーケティング – ボーンの逆襲』(漫画で学ぶWebマーケ);『デジタル・マーケティング超入門』 ;YouTube「中田敦彦のYouTube大学」マーケティング解説回;グーグル認定「デジタルマーケター認定資格」取得。
以上のロードマップとリソースを活用し、実務での経験と計画的な学習を両輪に3年間取り組めば、着実に経営者としての知識・スキルが身につくはずです 。現在の強みである技術者視点を活かしつつ、経営者視点を段階的に養っていくことで、将来の雇われ社長就任に万全の準備を整えてください。3年後には、現場を理解し人を動かし数字を管理できる、現実的かつ戦略的な経営者として会社をリードしていることでしょう。